海外でカードを使うとき、意外と見落としやすいのが「為替レート」だけではなく、カード会社が上乗せする海外事務手数料です。
たとえば台湾の店舗で少額決済をした場合、70台湾ドルが日本円で約362円として処理された。市場レートやWiseなどで見る概算では70台湾ドルは約348円前後だったため、実質的には約4%ほど高くなっていた。
この差は不正な請求というより、海外カード決済の構造によるものです。
海外カード決済のコストは二層構造になっている
海外で日本発行のクレジットカードを使うと、基本的には次のような計算になります。
現地通貨の利用額
× 国際ブランドの換算レート
× カード会社の海外事務手数料
つまり、GoogleやWiseで見える市場レートと完全に同じ金額にはなりません。
カード会社によって公開されている海外事務手数料も異なります。たとえば、EPOSカードはVisaの為替レートに3.85%を加算すると説明しており、2025年7月1日から2.20%から3.85%に改定されています。
楽天カードは、Visa、Mastercard、JCB、American Expressの全ブランド共通で、2025年3月以降の海外事務手数料を3.63%としています。
Amazon Mastercardは三井住友カード発行で、2025年10月1日以降に到着した海外売上データから、海外事務処理手数料が1.63%から2.20%に改定されます。
台湾で使う場合のカード別コスト感
台湾で日本発行カードを使う場合、主な違いは「国際ブランドのレート」と「カード会社の手数料」です。
| 支払い手段 | 国際ブランド | 海外事務手数料 | コスト感 |
|---|---|---|---|
| EPOSカード | Visa | 3.85% | 高め |
| 楽天カード | Mastercard | 3.63% | 高めだがEPOSより少し低い |
| 楽天カード | JCB | 3.63% | JCBレート次第で高くなりやすい |
| Amazon Mastercard | Mastercard | 2.20% | 手持ちの信用カードでは低め |
| Revolut | 独自レート+カード決済 | 条件次第で低い | 海外旅行向け |
| Wise | 中間市場レート+換金手数料 | 透明な換金手数料 | 送金・多通貨管理向き |
この比較だけを見ると、既存の信用カードの中ではAmazon Mastercardが比較的有利です。ただし、それでも2.20%の海外事務手数料がかかります。
そのため、海外旅行が多い人にとっては、通常の日本発行クレジットカードだけでなく、RevolutやWiseのような多通貨系サービスを組み合わせるほうが現実的です。
Revolutは信用カードではなく、多通貨の支払い用口座に近い
Revolutはクレジットカードではありません。先に残高を入れて、その残高から支払うタイプのサービスです。
日本ではRevolut Technologies Japan株式会社が第二種資金移動業者として登録されており、銀行預金そのものではありません。
Revolutの強みは、海外でのカード決済時に、通常のクレジットカードのような高い海外事務手数料がかかりにくい点です。Standardプランでは、平日の為替市場時間内であれば通常顧客の通貨交換手数料は0%、月間30万円相当を超えると0.5%がかかります。
また、週末の為替市場時間外ではStandardプランに1.0%の追加手数料がかかります。
この1%は完全無料ではありませんが、多くの日本発行クレジットカードの2%〜4%近い海外事務手数料と比べると、十分に許容しやすい水準です。
Wiseとの違い
Wiseも海外旅行や多通貨管理では非常に便利です。Wiseは中間市場レートを使い、通貨換算時に透明な手数料を取る仕組みです。日本向けの説明でも、換算手数料は通常0.73%からと説明されています。
大きく分けると、RevolutとWiseは次のように使い分けられます。
| 項目 | Revolut | Wise |
|---|---|---|
| 得意分野 | 海外旅行中のカード決済 | 国際送金・多通貨管理 |
| カードの性質 | プリペイド/デビット的 | デビットカード的 |
| 信用枠 | なし | なし |
| 為替コスト | 平日は低く、週末はStandardで1%追加 | 中間市場レート+換算手数料 |
| 旅行中の使いやすさ | 日常決済向き | 送金・予備カード向き |
どちらも信用カードではないため、ホテルやレンタカーなどで「信用枠」が求められる場面では、通常のクレジットカードを予備として持っておくほうが安心です。
Revolutで注意すべき「入金元」の違い
Revolutでは、残高に入っているお金でも、その入金元によって使える範囲が変わる場合があります。
特に重要なのは、カードでチャージした残高です。Revolut Japanの説明では、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカードで追加した資金は、送金やATM引き出しには使えないとされています。
これは、カードの利用枠をRevolut経由で現金化することを防ぐためです。Revolutの規約でも、カードでチャージした残高をATMから引き出したり、銀行口座や他のRevolutユーザーへ送金したりする行為を「monetise」として制限しています。
したがって、実用上は次のように考えるとわかりやすいです。
| 目的 | 入金方法 |
|---|---|
| 海外店舗でカード決済する | カードチャージでも可 |
| 海外ATMで現金を引き出す | 銀行振込で入金した残高が安全 |
| 他人や銀行口座へ送金する | 銀行振込で入金した残高が安全 |
海外旅行では、現地で少し現金が必要になることがあります。その可能性があるなら、出発前に銀行振込でRevolutへ入金しておくほうが扱いやすいです。
実用的な海外旅行用カード構成
海外旅行が多い場合、最も合理的なのは「一枚ですべてを済ませる」ことではなく、役割を分けることです。
おすすめの構成は次のようになります。
| 役割 | 支払い手段 |
|---|---|
| 日常の海外決済 | Revolut |
| 国際送金・多通貨管理・予備 | Wise |
| 信用カードが必要な場面 | Amazon Mastercard |
| 緊急時の予備 | EPOSカード、楽天カード |
この構成にすると、普段の海外決済コストを抑えながら、クレジットカードが必要な場面にも対応できます。
現地通貨で決済することが重要
もう一つ重要なのは、海外の店舗やATMで「日本円で払いますか、現地通貨で払いますか」と聞かれたときです。
この場合、基本的には現地通貨を選ぶべきです。
台湾ならTWD、新台湾ドル。
韓国ならKRW、ウォン。
ヨーロッパならEUR、ユーロ。
アメリカならUSD、米ドル。
日本円決済を選ぶと、DCC、つまり動的通貨換算が使われることがあります。これは店舗側や決済会社側の独自レートで日本円に換算される仕組みで、カード会社やRevolut、Wiseのレートより不利になることがあります。
まとめ
海外旅行の支払いコストを下げるうえで重要なのは、単に「どのカードを持っているか」ではなく、次の三点です。
第一に、カード会社の海外事務手数料を確認すること。
第二に、国際ブランドやサービス側の為替レートを理解すること。
第三に、支払い手段の役割を分けること。
通常の日本発行クレジットカードは便利ですが、海外事務手数料が2%〜4%近くかかることがあります。一方で、RevolutやWiseのような多通貨サービスを使えば、海外旅行中の日常決済コストをかなり抑えられます。
現実的な結論としては、海外旅行が多い人なら、
日常決済はRevolut
多通貨管理や送金はWise
信用カードが必要な場面はAmazon Mastercard
その他のカードは緊急用
という構成が、シンプルで使いやすく、コスト面でもかなり合理的です。
※手数料やサービス条件は変更される可能性があります。実際に利用する前には、各社公式サイトやアプリ内表示で最新条件を確認する必要があります。